病院は本日も大騒ぎ

肝臓病で入院なのに酒を持ち込み、飲み歩く“その筋の人”

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 公立病院を定年退職し、今は“一看護師”として勤務しているワカコです。看護師にはいろいろな人がいますが、共通しているのは「人の役に立ちたい」「正しいことをしたい」という気持ちが強いことです。

 ですから、医師や看護師の指示に従わない入院患者さんがいると、気持ちが余計にへこんでしまいます。これから話すのは、私の友人看護師が勤務している首都圏の民間病院の話です。

 ある日、肝機能障害で60代の患者さんが入院してきたそうです。“その筋”のとても偉い人だということでした。

 入院誓約書には、連帯保証人名のほか、病室の禁煙、禁酒なども明記されています。それなのに、その患者さんは病室に大きな灰皿とお酒を持ち込んできたそうです。

 前代未聞の出来事に病院は大騒ぎになりました。すぐに担当看護師が口頭で注意したのですが、言うことを聞きません。院長にも報告しましたが、「わかった、わかった」と言うばかりで注意した様子はなかったといいます。というのも、その後も灰皿はもちろん、ウイスキーや焼酎、日本酒の瓶がズラリと並んだ状態が続いたからです。

 しかも、昼間はその患者さんの関係者と称するコワモテのお兄さんやお姉さんたちが生花を持って切れ目なく訪れます。見舞いといいながら、焼き肉やお寿司を持ち込み、廊下に漏れるほどの大声で宴会を始める始末。他の入院患者さんから苦情の声があがったので、看護師が恐る恐る注意すると、「オレは吸っても飲んでもいない。見舞客が悪いんだ。イチャモンつけるな」と、お酒で顔をほてらせながら大声で言い訳したそうです。

 さらに、入院してきたその患者さんは夜になるとほぼ毎晩のように病院を抜け出し、どこかでお酒を飲み、鼻歌で帰ってくることが続いたといいます。

 病気が改善したのかどうかはわかりませんが、この患者さんは入院2カ月ほどで退院していったそうです。その際、看護師はもちろん、医師や事務スタッフたちも皆、ホッとしたのは言うまでもありません。

 ちなみに、テレビや映画ではこういうメチャクチャな人の周りにはしっかりした人がついていて、「ご迷惑をおかけしました」と言って、病院のスタッフにプレゼントするシーンなんかが出てきますが、一切そんなことはなかったそうです。