夏バテ胃腸は秋口に立て直せ

ストレスを書き出せば薬はいらない

(C)日刊ゲンダイ

 心身症の治療には順番が大切です。まず最初にしなければならないのが「自己開示」です。心に葛藤を持っている人は、自分がどのストレスに悩んでいるのか自分でもわからなくなっている人が多い。そのため、まずは「ストレスの言語化」が必要なのです。

 アメリカの心身医学会で発表された研究では、本人が抱えているネガティブな記憶を短時間、紙に書き付ける行為を1週間のうち3日間連続して行い、これを数カ月続けると、気管支喘息や関節リウマチの症状が明らかに改善したと報告されています。

 週3日、1日20分、今までつらい思いをした経験やトラウマをエッセーのように書き出すだけでOK。ネガティブな経験を書き出すことによって発散し、ストレスを自己開示するだけで、ストレスと関連する慢性疾患、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群といった胃腸の不調は改善するのです。

2 / 3 ページ

江田証

江田証

1971年、栃木県生まれ。自治医科大学大学院医学研究科卒。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器内視鏡学会専門医。日本ヘリコバクター学会認定ピロリ菌感染認定医。ピロリ菌感染胃粘膜において、胃がん発生に重要な役割を果たしているCDX2遺伝子が発現していることを世界で初めて米国消化器病学会で発表した。著書多数。