独白 愉快な“病人”たち

内藤やす子さんは公演中に脳出血 倒れて数年間の記憶なし

内藤やす子さんは禁煙にも成功(C)日刊ゲンダイ

 運ばれた福島の病院は、3カ月ほどで退院しましたが、その後は東京に戻って病院へ通う日々を送りました。写真が残っているので、「ああ、こんなことしてたんだ」と思うくらいで、つらかったか楽しかったかも、まるで記憶がありません。こう言ってはなんですが、“ただ生きているだけ”でした。ただ、そこにあるものを着て、出されたものを食べ、不安もなければ幸せもない「ゼロ」だったんです。

 それが少し変わってきたのが5年ほど前かな。リハビリのひとつとして、発声練習をやり始めました。夫が考えてくれたことです。週に1回、2時間の練習です。

 あまり覚えてないんですけど、声を出すことは楽しかった。過去のビデオなども一切見なかったですし、家で鼻歌が出るようなこともなかったけれど、先生のところへ行くのは楽しみでした。

 感覚としては、いつの間にか歩けるようになっていたし、そのころから右手で物が持てるようになった気がします。

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