5年で4000例 腹水を“抜けば弱る”の常識を覆す最新治療法

「要町病院」松﨑圭祐・腹水治療センター長(C)日刊ゲンダイ

「大量の腹水で他の医療機関から治療拒否された40代の卵巣がん4期の女性は、24.6リットルの腹水を抜いた上で、KM-CART法を行い、好結果を得ています。翌日には腹部膨満感や手足のむくみが取れ、2日後には退院。3年経った今も健在です」(松﨑氏)

 同センターは今年8月までの5年足らずで4000例を達成し、1回につき平均で6.5リットル、最大27リットルの腹水を抜いたという。通常は2泊3日で治療されている。

 そもそもCART法は、1981年に難治性腹水の治療法として保険承認された。

「濾過膜により、腹水からがん細胞や細菌などを取り除き、アルブミンとグロブリンの濃縮液を作って、患者の静脈内に戻す画期的な方法でした。しかし、①がん性腹水には細胞や粘液成分が多いため、1~2リットルで濾過膜が詰まって大量の腹水が処理できない②高い圧をかけて無理やり濾過するため、炎症物質が産出され、体内に戻すと高熱が出る、などの欠点があり、がん治療の現場から消えてしまいました」(松﨑氏)

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