天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

冠動脈疾患はコレステロールと血糖をしっかり管理する

順天堂大学の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 心臓疾患は早期に対処を行えば、元通りの生活を取り戻せる病気です。しかし、病気によっては突然死するリスクが高いものもあります。今回から、病気ごとに心臓突然死を徹底的に防ぐ方法をお伝えしていきます。

 突然死とは「発症から24時間以内の死亡」と定義され、心臓疾患による突然死は、日本では年間約5万件が発生しています。突然死する危険がある心臓疾患は主に3つあります。①急性冠症候群による急性心筋虚血②大動脈破裂や解離性大動脈瘤③致死性不整脈――です。

 まずは①急性冠症候群についてお話ししましょう。急性冠症候群というのは、急激な心臓の血管の収縮や狭窄によって、突然死を引き起こす可能性がある重症な疾患の総称です。

 動脈硬化などによって心臓に栄養や酸素を送っている冠動脈にプラークが形成され、そのプラークが破綻して血流が途絶えることで起こります。心臓への血流が途絶える(虚血)と、心筋が壊死してポンプ機能を失い、脳に血液を送ることができなくなって死に至るのです。臨床的には、「急性心筋梗塞」や「不安定狭心症」がそれに当たります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。