天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

冠動脈疾患はコレステロールと血糖をしっかり管理する

順天堂大学の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 再発予防も含め、コレステロール低下剤でLDLを厳格にコントロールする場合は、循環器の専門医を選ぶのが最低条件です。さらに、経験年数やキャリアをチェックし、病気や薬に対する知識があるかどうかも確認しましょう。そして何より、自分が納得できるような対応をしてくれているかどうかが重要です。

 冠動脈の疾患による突然死を防ぐには、LDLだけでなく血糖をきちんとコントロールすることも大切です。空腹時血糖値「110㎎/dl未満」、HbA1c「6.0%未満」が基準値になります。

 血糖が高い状態が続くと、血管に負担がかかって動脈硬化が進みます。また、血液中の糖分が増えるとコレステロール値がそれほど高くない人でもプラークができやすくなるケースもあるのです。

 日本では、2000年を境にコレステロール値と血糖値が高い人の割合が急速に増えています。1945年の終戦前後に生まれた人たちは、戦後の食生活や生活習慣の変化によって、体質も高コレステロールと高血糖に傾きました。00年以降、そうした人たちが、高コレステロールや高血糖による病気が発症する年齢のゴールデンゾーンに入っているのです。

 そうした傾向を踏まえながら、高コレステロールと高血糖に加え、高血圧まで管理すれば、冠動脈の疾患による突然死は大幅に防ぐことができます。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。