気象予報士の医師が教える“病気予報”

フェーン現象で頭蓋内の血管が拡張し偏頭痛に

 暖かく湿った空気が山をかけのぼり冷やされて雨となった後に、山を越えて高温の乾いた風となって吹き下ろす現象を「フェーン現象」といいます。わが国でもしばしば観察され、日本海側を低気圧や台風が通過するときに起きやすいといわれています。

 フェーン現象はときに高温被害や片頭痛の原因となることが知られています。74年間、日本の歴代最高気温記録だった1933年7月25日の山形県山形市の40・8度も、フェーン現象の結果として有名です。

 フェーン現象による高温と強風は、稲の発育不良や大規模な山火事被害の原因となるばかりでなく、人体に悪影響を及ぼすこともあります。高温により頭蓋内の血管が拡張し片頭痛を引き起こすことがあるのです。

 片頭痛とは、嘔吐や光過敏(まぶしさを嫌う)などを伴い、動けなくなってしまうようなひどい頭痛をいいます。日本全国に800万人以上の患者がいるといわれています。もし周囲で頭痛に困っている人がいれば、頭痛外来の受診をお勧めします。