ダイエットを科学する

入浴前にカテキン茶を飲めば体内への吸収率は7倍へ

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 前回、「入浴だけではやせない」と書いたが、間接的に入浴がダイエット効果を高めることは間違いない。

 人間の体の中には「褐色脂肪細胞」と呼ばれる特殊な細胞がある。肩や首回り、肩甲骨などにわずかに存在し、体の中で脂肪を燃焼して体温を上げる、ヒーターのような役割を持つ。

 褐色脂肪細胞は、年齢とともに数が減っていき、その機能が低下すると太りやすくなる。

 ところが茶カテキンを数週間摂取すると、褐色脂肪細胞が再活性化して脂肪燃焼量が増えることがわかっている。カテキン飲料販売企業の研究などで証明済みだ。

「お風呂博士」の異名を持つ医師で、東京都市大学人間科学部の早坂信哉教授らは2012年、お風呂とカテキンの関係を実験したことがあるという。

 その実験は以下の通りだ。

①コップ1杯のお茶を飲んで室内で10分安静にする。

②同じくコップ1杯のお茶を飲んでから、40度の風呂(温泉)に10分入浴する。

 その1時間後の結果、「お風呂に入った人のカテキン吸収率は、お風呂に入らない人の7倍になった」と早坂教授が言う。

「お風呂に入ると血流が良くなります。血の巡りが良くなるため、体に入ったカテキンも血流アップで吸収率が高まったとみられます」

 つまり、入浴前に緑茶などカテキン入りの飲み物を飲むことで褐色脂肪細胞が活性化され、やせやすい体質に変えることができるというわけだ。

 では、褐色脂肪細胞をさらに活性化するにはどうしたらいいのか? 褐色脂肪細胞が肩甲骨の周りにあるため、肩回りの運動が効果的という意見もある。しかし、確実なのは水泳だ。水中では多くの熱が奪われるため、体温を維持しようと褐色脂肪細胞が活性化し、脂肪を燃やそうとするからだ。

 泳ぐことができればいいが、泳げなくても、プール内を歩行するだけで効果はある。できたら、温水プールではなく、風邪をひかない程度の、やや冷たいプールの方が効果があるかもしれない。

 プールは嫌だという人は、手を冷たくするのもいいかもしれない。手のひらには冷点があり、脳を通じて褐色脂肪細胞を刺激する。褐色脂肪細胞を活性化して基礎代謝を上げることは、リバウンドなしのダイエットの秘訣。覚えておこう。