Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

梅宮辰夫さんは白目に 十二指腸乳頭がんは黄疸で早期発見

梅宮辰夫さん(C)日刊ゲンダイ

 術後は体重が10キロほどダウンしたそうですが、主治医が驚くほどの回復ぶりを見せ、本人は「釣りに行きたい。オレは元気だから、騒がないでくれ」と語っているといいます。進行して見つかるケースの多いすい臓がんは手術ができても、経過があまりよくありませんが、早期に見つかるケースの多い十二指腸乳頭部がんは、梅宮さんのように術後の経過は比較的良好なのです。

 ですから、梅宮さんの現状があるのは、家族が早期の黄疸を見逃さなかったこと。家族の力で乗り越えた勝利といえるでしょう。このがんが進行すると、すい臓内に浸潤し、高確率で肝臓などに転移するため、かなり厳しい状態になります。

 今年は、梅宮さんの親友の松方弘樹さんが脳腫瘍を発症され、先日は九重親方がすい臓がんで亡くなりました。男性に限ると、3人に2人ががんになる時代を象徴する年になっています。がん検診ですべてのがんをカバーすることはできませんが、せめて有効性が国際的に認められている胃、大腸、肺の3つは受けておくことです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。