肩こりも解消 3つの意識で変わる「疲れない目の使い方」

前かがみの姿勢ではできない
前かがみの姿勢ではできない(C)日刊ゲンダイ

 眼精疲労、頭痛、肩凝り、腰痛など、長時間のデスクワークによる疲れに悩まされている人は多いだろう。解消のポイントは「目」にある。

「『疲れない身体』をいっきに手に入れる本」の著者である藤本靖氏は、米国生まれのボディーワークを根底にした独自の身体論を展開し、外資系企業などで指導。手法は「Google」米国本社研修でも実験採用されており、注目を集めている。

■長時間のデスクワークでも疲れない方法

 藤本氏は施術を行う中で、「施術直後は疲労感が取れるが、日常生活に戻ると元の緊張した状態に戻る人が多い」という問題を、どう解決するか考えていた。

「結果、正しい姿勢を維持するより、目や耳など身体外から情報を読み取る器官(センサー)の使い方を変えることが重要だと気付いたのです」

 藤本氏によれば、人間は水平方向を見ている時、自然と背筋が伸び、疲れにくい姿勢になる。

 しかし、現代社会では“うつむき姿勢”が非常に多い。道を歩いている時しかり、パソコンやスマホを打っている時しかり。道路には障害物が多く、スマホが日常生活に欠かせない現状では、仕方がないセンサーの使い方なのだが、すると猫背になり、疲れやすくなる。

 そこで、可能な限り、センサーの使い方を“よい方向”へ持っていく。言い換えれば、体をほぐすだけでは、一時的な効果に終わってしまう。では、私たちの一日の大半を占める長時間のデスクワークで、センサーをうまく使い、疲れない体を手に入れるにはどうすればいいのか? 

■3つの方法で視野を広げる

「デスクワークではパソコンの小さい画面を長時間見続ける。すると視野が狭くなり、眼球を動かす目の奥の筋肉が緊張して固まり、目が疲れます」

 これはさらなる悪循環を招く。目の奥の筋肉に関連する首の付け根の筋肉も緊張して固まり、背骨の上に頭を真っすぐ乗せづらくなる。姿勢が崩れ、前のめりになり、首や肩、腰や背中が疲れる。

「つまり、長時間のデスクワークの疲れは、視野の狭さが原因。これを広げるには、大きく3通りの方法があります。自分がやりやすいものを取り入れてみてください」

 記者もやってみたが、最初は難解に思うものの、やってみると結構容易に感覚を「つかめる」。

 まずは、「パソコン画面を見つつ周りの空間も見る」。自分の視野の中に画面周辺の空間も自然に入ってくるイメージだ。画面だけを一生懸命見ない。

 次に、「外の情報を『受け取る』ように見る」。藤本氏いわく、パソコンの画面にある情報が目にやってくるイメージ。多くの人は、知らず知らず、パソコンの画面へ自分の目が向かっていくように、目を凝らして見ている。これを改める。

 最後に、「眼球以外の場所に『目がある』とイメージして見る」。後頭部の出っ張っている部分の上側にトンボのような大きな目が左右にあり、それで外の世界を見るように考える。

「眼球を動かす筋肉の緊張が抜け、首の緊張もなくなります。デスクワーク以外にも、目を使う手先の細かい作業の時にも応用が利きます」 

 3通りの方法はいずれも、前かがみの姿勢ではできない。おのずと姿勢が伸び、目、首、肩、腰、背中の筋肉に過度に負担がかからなくなる。筋肉の過度な緊張が持続しないので、長時間のデスクワークによる頭痛なども起こりづらくなる。

 百聞は一「見」にしかず。思いついた時々からでいい。やってみよう。

関連記事