独白 愉快な“病人”たち

三笠優子さん マッサージ師に指摘され病院に駆け込んだ

歌手の三笠優子さん(C)日刊ゲンダイ

 ところが、その件についての記録は大学病院のカルテにはないんです。ということは、病院側に後ろめたいものがあったのかもしれません。

 以来、精神科の薬が合わずに時間外に病院に行ったり、なかなか薬との共存は難しいですね。でもやっぱり一番の薬は、ステージとお客さまです。ステージに立つと元気になるし、愉快におしゃべりしていられます。こうして病気の話もオープンにしていると、「私もうつなのよ」なんて声を掛けてくださるのもうれしい。

 自分が杖を使ったおかげで、客席を見ると、椅子のワキに杖を置いている方がたくさんいることにも気づけるようになりました。そこまでしてお客さまが来てくださる幸せ、つくづく歌手でよかったと思います。

(聞き手・岩渕景子)

▽みかさ・ゆうこ 1949年、愛媛県生まれ。15歳から浪曲師の松平国十郎に師事。博多のクラブ歌手時代に自主制作した「洞海湾の竜」が話題となり77年にメジャーデビュー。79年にリリースした「夫婦舟」で日本レコード大賞・ロングセラー賞を受賞。今年7月に「おんなの真田丸」をリリース。

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