数字が語る医療の真実

欧米で人気 「尊厳療法」の効果と日本での反応

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 しかし、日本で尊厳療法を行おうとしたところ、対象者の大部分がこの治療を拒否したという研究結果が報告されています。

「死ぬことが分かっているのに、どうしてわざわざこんなことを勧めるのか」「死について考えたくない」というのが、主な拒否の理由だったようです。自分自身のこととして考えてみても、死が迫った状況で、他人に改めてこれまでを話すというのはむしろ気が重い感じがします。最後はやはり本当のことを言わなければ……みたいな感じがしてしまうのもイヤな気持ちがします。

 死が迫った時こそ、死をとりわけ問題にしないという日本人の対応方法は、意外にいい方法なのかもしれません。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。