医者も知らない医学の新常識

強力な磁気を使う「MRI検査」は本当に安全なのか?

無害とは言い切れない
無害とは言い切れない(C)日刊ゲンダイ

 体を「輪切り」のようにして見ることができる検査が、CT検査とMRI検査です。この2つの検査にはどのような違いがあるのでしょうか?

 簡単に言うと、CTは放射線を使う検査で、MRIは強力な磁気を使う検査です。どちらの検査も、必要最小限の使用であれば体に大きな害はありません。

 ただ、最近は放射線の害が騒がれることが多くなりましたから、「MRI検査の方が安全だ」と思われている方が多いかもしれません。

 MRI検査は確かに安全性の高い検査ですが、それでも無害とは言い切れません。特に妊娠中の使用については、妊娠初期に胎児の組織に電磁波が作用することの危険を指摘する意見があります。また、体に磁気に反応する金属などがあると、その場所が熱を持ったり痛みを出すことがあります。タトゥーやアイメーク、ボディーアートなどで、そうした事例が報告されています。

 コンタクトレンズの一部でも、そうした影響が出ることがあります。また、精密検査では「ガドリニウム」という造影剤を使用しますが、腎臓の働きが低下していると、これが蓄積して皮膚などの障害を起こす危険があります。妊娠中に造影剤を使用すると、それが胎盤を通過して、胎児に影響を与える可能性もあります。

 このようにMRI検査にも、まれですが危険はあるので、必要な検査だけを受けるようにするのが一番の安全策なのです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。