病院は本日も大騒ぎ

病室で思わず患者さんとハグしちゃった!

 現在、関東の大学病院に勤務しているヨウコです。看護師になって、もっともうれしいことは患者さんの病気が完治することでしょうか。

 私が担当している内科病棟に、体格ががっちりとした50代の男性が入院してきました。1度目は3日間の検査入院で、「上咽頭がん」と診断されました。

 半月ほどの間をおいて再入院したのですが、今度は治療のためです。担当医から治療は「手術」「化学療法」「放射線治療」の3つを提示されたようです。ところが本人は、手術を拒否しました。担当医から手術のリスクを聞いて腰が引けたのでしょうね。

 職業は土木関係とおっしゃっておられましたが、長期入院は初めてとのこと。気が小さいようで、私たち看護師と顔を合わすたびに、「俺、大丈夫と思う?もうダメだよ。がんだから」などと心細い気持ちをよく口にしておられました。あまりに心配し過ぎて夜もろくに眠れず、「体重が4キロも減った」ともおっしゃっておられました。

 治療のための入院は約2カ月でした。途中、自宅に2度ほど帰りましたが、入院している間、放射線治療を40回ぐらい受けたでしょうか。

 やがて担当医から、「上咽頭がんは一応完治しました。退院されて結構ですが、3カ月に1回は通院してください」と言われたそうです。

 担当の私は、患者さんからそう報告を受けたとき、病室でいきなりハグをしてしまいました。

 だって、あまりにもうれしそうな患者さんの顔を見て、つい私もうれしくなっちゃったんです。

 あとで「いくらなんでも患者さんとハグをするなんて、ダメですよ」って、先輩看護師にたしなめられてしまいました。でも、その先輩の目もうれし涙でいっぱいでした。その日は幸福感に包まれたことを今もハッキリと覚えています。