唯一の手がかりになりそうなのが血糖の乱れだ。膵臓にがんができると、インスリンを分泌するβ細胞が壊れることがある。そのため、糖尿病を発症したり、血糖コントロールが悪くなる。
「確かに膵がんになると血糖値が急激に上がるといわれていますが、実際はそれほど多いわけではありません。膵がんの90%以上は膵管にできるため、膵臓の一部でしかないβ細胞は、傷つかない人も多いのです」
■1センチ以下のがんもOK
牧田院長のクリニックでは年間2000人以上の糖尿病患者が来院し、うち2人程度が膵がんになるという。しかし、血糖コントロールはむしろ良いケースが多いという。
では、膵がんを早期発見する方法はないのだろうか?
「私は患者さんに50歳を過ぎたら、年に1回、胸部から腹部にかけてのCTとお腹のMRIであるMRCP(MR胆管膵管撮影)を受けるよう勧めています。MRCPは胆汁や膵液の撮影を強調する方法で、膵がんを見つける大きな武器になります」