ただ、これらの治療は早期に行っても、後から行っても内容は一緒なので、治療によって生活の質を損なうことがなければ、早めに治療を行うケースも最近は増えてきています。
高血圧以外には、先天性の「二尖弁」によって大動脈解離を起こすケースがあります。心臓には、血液が効率よく一方通行で流れるように調整している弁が4つあります。そのうちの大動脈弁は、通常なら開閉する弁尖が3つあるのですが、それが生まれつき2つにしか分離していないのが二尖弁です。先天的な異常としては比較的多く見られ、日本人の80人に1人の割合で存在するといわれています。
二尖弁自体が問題になることはほとんどありません。しかし、二尖弁の人は通常よりも大動脈が弱く、だんだん大動脈の一部が膨らんできたり、気づかないうちに弁膜症から大動脈解離を起こす場合があります。それほど多い症例とはいえませんが、時々、見かけるので注意が必要です。先日も二尖弁の患者さんの手術を行いました。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」