客観的根拠なく診断困難…“エセうつ病”で注意すべきこと

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 いずれも、治療法は異なる。更年期障害の治療はホルモン療法や漢方薬などを用いるが、それらはうつ病には効かない。

 双極性障害に至っては、治療戦略の間違いが深刻な結果をもたらしかねない。近年、抗うつ薬を用いることで双極性障害がより悪化するという報告があるのだ。

■増強療法

 よくならないうつ病には、適切な治療でも治らない難治例と、医師の腕に問題がある例がある。後者では「薬の処方が不適切」というケースが珍しくない。

「中等症以上のうつ病は、抗うつ薬が治療の第1選択で、『1種類の抗うつ薬を十分量かつ十分期間使用』が効果を発します。効き目が悪ければ、2剤、3剤と増やすのではなく、別の抗うつ薬に切り替えるか、抗うつ薬の効果を高める別の薬を少量併用する増強療法が行われます」

 しかし、別の医療機関の治療で症状が改善しないと訴える患者には、3剤以上の多剤併用だったり、量が少なかったりするケースが少なくない。

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