医者も知らない医学の新常識

頭痛を伴う高血圧の患者は長生きするのか

 高血圧は生活習慣病の代表です。大きな自覚症状がなく、何かの機会に血圧を測定して初めて高いことが分かる――というケースが多いようです。

 その高血圧でときどき見られる症状が頭痛です。頭痛があると、それが心配で医療機関を受診するという方も多いと思います。

 それでは、頭痛と高血圧との間には、どのような関係があるのでしょうか? 血圧が急激に上昇すると、頭痛や肩凝りなどの症状が出ることがあります。こうした頭痛は高血圧を治療することにより改善することが多いといわれています。

 まれに、重症の高血圧で脳症と呼ばれる脳の腫れ(むくみ)を起こしたり、くも膜下出血という脳出血を起こすと、それまでに経験したことのないような強い頭痛が起こることがあります。ただ、それ以外の多くの頭痛と高血圧との間には、あまり強い関係はないのです。

 今年の高血圧の専門誌に発表されたフランスでの研究では、「高血圧で頭痛のある人は、何も症状のない人より長生きだった」というびっくりするような結果が報告されています。病院で30年間、患者さんを観察した結果ですが、どうやら頭痛があると、患者さんは高血圧をより「病気」として認識して、生活の改善にも気を使うようになる。その結果として、高血圧の合併症を起こしにくくなるようです。

 一病息災というのは、こうした場合にも当てはまることのようです。

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。