今年のインフルエンザワクチン 昨年とどう変わったか?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 インフルエンザワクチンの接種シーズンを迎えました。当院でも1日から接種を始めましたが、今年は昨年と違う部分があります。

 ひとつはチメロサール(エチル水銀チオサリチル酸ナトリウム)フリーのインフルエンザワクチンの供給中止です。今春の熊本地震でワクチン製造工場が被災したからです。

 チメロサールというのは有機水銀製剤で、微量でも殺菌効果が高いためワクチンの防腐剤として使われています。

 むろん、水俣病の原因となった有機水銀とは別物です。体内への蓄積も少なく、安全性は高いといわれています。それでも妊婦や乳幼児への悪影響を懸念する方もおられるかもしれません。

「産婦人科診療ガイドライン産科編2014」には「チメロサールを含んでいる製剤もその濃度は0.004~0.008㎎/mlと極少量であり、胎児への影響はないとされている。懸念されていた自閉症との関連は最近否定された。したがって、エチル水銀(チメロサール)含有ワクチンを妊婦に投与しても差し支えない」とあります。それを基に日本産科婦人科学会はホームページを通じ、理事長名で本年度の妊婦へのインフルエンザワクチンの接種を呼びかけています。

 なお、アレルギーのある人はチメロサールを含むワクチン接種でかゆみ、発熱などの症状が出る場合があります。接種前に十分医師と相談することが大切です。

(松尾内科クリニック・松尾孝俊院長)