「あと何年、生きられるのか」「もし、私がいなくなったら子供たちはどうなる」――。妻たちの不安は尽きない。進行度はもとより、家族構成や年齢が違えば対応も違ってくる。だからこそ難しいし、他人に頼りたくなるのだ。
「私の妻の場合、入院して1カ月ほど放射線と抗がん剤治療を受けました。ほぼ、仕事の帰りに病院に寄って1時間くらい話し相手になります。『ご飯はどうしてる?』『あれは大丈夫?』『親戚には連絡した?』などと、毎日質問されました。私はキチンと話を聞いてやることで、妻を安心させてあげられたような気がします」(松田さん)
松田さんの妻は1年半ほど入退院を繰り返したが、治療状況や検査結果を聞くときは必ず同席した。
「医者の言うことは全部メモし、不明な点は次回病院に行ったとき質問しました。疑問が解ければ、妻も安心しましたから。私にできることはそれくらいしかありませんでした」(松田さん)
妻と一緒にいてあげること、これが一番の“良薬”になるということか。
妻が「末期がん」になったら