独白 愉快な“病人”たち

作詞・作曲家の中村泰士さん 「嫌な性格」はうつ病が原因

すっかり陽気なイメージが定着(C)日刊ゲンダイ

 昔は歌謡曲1曲作るのに関わっている人が多くて、創作活動よりも「伝えること」がひと仕事。東京の“回りくどい”表現で仕事を進めていた。そうして作曲家然とするようになり、病が巣食うことになったんだと思います。

 今は、機材も進化し、自宅で作詞・作曲・アレンジまでできるようになり、CDも直販状態、関わる人も減り、ストレスは軽減されました。

 東京は流行を吸い上げて廃れさせる。大阪は流行をつくる側。だから僕は今、大阪から歌謡曲ムーブメントを起こそうと思っています。タクシーのおっちゃんに「最近、仕事してないんちゃうか」って言われて、「うるさいわ!」と笑いながら返せる。このストレートな関西の会話が元気にさせてくれるんです。

(聞き手・岩渕景子)

▽なかむら・たいじ 1939年、奈良県生まれ。72年、ちあきなおみの「喝采」で第14回日本レコード大賞、82年、細川たかしの「北酒場」で第25回日本レコード大賞を受賞。2006年から拠点を大阪に移し、歌謡曲ライブ「道頓堀SUPER歌謡劇場」を主宰。5月に7時間7分にわたる喜寿記念ライブを敢行。来年春には大阪城ホールにて「1万人の歌謡曲」を開催する。

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