当事者たちが明かす「医療のウラ側」

少年野球「オスグッド症」と総練習時間と体格変化の関係

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
40代・整形外科医

 バスケットボールやバレーボール、野球といったスポーツ好きな小学校高学年から中学生が発症する病気に「オスグッド・シュラッター病」があります。

 脛骨(けいこつ)結節と呼ばれる膝のお皿の下の骨が徐々に突出してきて痛みが出る病気です。時には赤く腫れたり、熱を持ったりします。運動を休むと痛みがなくなりますが、運動を再開すると痛みが再発します。

 太ももの前面の筋肉(大腿四頭筋)は膝のお皿(膝蓋骨)や膝蓋腱を通じて脛骨粗面にくっついています。運動すると筋肉が収縮して脛骨粗面が強く引っ張られます。成長期にはこの脛骨粗面に成長軟骨帯があり、運動により炎症が生じ、ひどい場合は軟骨が剥離することもあります。

 偏った体の使い方が原因といわれる、このオスグッド症について、群馬大学大学院の研究者が小中の野球少年を対象にした調査結果を今年6月の日本整形外科学会の学術集会で報告しています。

 1年以上の経過観察が可能で調査開始時点でオスグッド症でない61人を調べたところ、3人がオスグッド症と診断されました。

 その後、51人のオスグッド症にならなかった子供と、なった3人の子供を比較したところ、練習時間の変化や体格変化が発症に関係していたことが分かったそうです。

 つまり、成長期の発育状態を把握するローレル指数の増加が大きいほど、さらには週の総練習時間が多いほど(発症しなかった群は17・13±3・62時間、発症群は22・33±2・89時間)、オスグッド症のリスクは高まったということです。

 東京五輪の開催が決まったことで、小さい頃からスポーツをする子供たちが増えています。しかし、成長期の子供はよほど注意をしないと、思わぬ故障に泣くことになりかねません。