放置でうつ症状も…老人の貧血には怖い病気が隠れている

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 家族にとって意外だったのは、田中さんがひどい貧血を患っていたこと。酸素とくっついて全身に酸素を運搬するヘモグロビンの量が9g/dlしかなかった。東邦大学医療センター佐倉病院循環器科の東丸貴信教授が言う。

「貧血は心不全を悪化させる原因ですが、心不全そのものも貧血を起こします。心臓の機能低下で腎血流量が減り、腎機能が悪くなると、赤血球を作るエリスロポエチンの産生異常が起こります。炎症性サイトカインも増えるので、これらが相まって貧血になると、心不全がさらに進むという悪循環に陥ります。実際、心不全患者の3分の1は貧血があるといわれます」

■肉は食べなきゃダメ

 貧血の定義は世界保健機構(WHO)基準などで血液内のヘモグロビンの量が15歳以上の成人男性は13g/dl以下、妊婦を除く15歳以上の成人女性は12g/dl以下とされている。高齢者は11g/dl以下だが、65歳を過ぎると造血能力が急に低下することが知られる。

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