役に立つオモシロ医学論文

つわりがひどいと流産などのリスクが低下

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 妊娠中のつわり症状の代表的なものが吐き気でしょう。ある研究によれば、妊娠女性の8割が吐き気を感じているともいわれています。この吐き気や嘔吐の症状は、生活にも影響が出るほどつらいものではありますが、流産などのリスクが低下する可能性を示した論文が報告されました。

 この論文は2016年9月26日付で、米国医師会誌内科専門誌の電子版に掲載されました。「アスピリン」という薬の妊娠に関する有益性を検討するために行われた臨床試験データを基に、改めて解析し直した研究です。

 対象となったのは、過去に1~2回、流産や死産など妊娠損失を経験した妊娠女性797人(平均28.7歳)でした。被験者の日誌等で確認した吐き気や嘔吐の症状と、妊娠損失のリスクの関連を検討しています。なお、結果に影響を与え得る年齢、喫煙状況などでの因子で補正して解析しています。

 妊娠2週時点において吐き気の症状があった人は17.8%、吐き気と嘔吐があった人は2.7%でしたが、8週時点ではそれぞれ57.3%と26.6%に増加しました。妊娠損失のリスクは、吐き気や嘔吐がない人に比べて、吐き気があった人では50%、吐き気と嘔吐があった人では75%、統計学的にも有意に低下しました。

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青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。