本当は怖い!歯の病気

洗口液は歯周病予防に本当に有効なのか

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 薬局やスーパーなどで目にする洗口液。その広告には「歯肉からの出血」や、「歯肉の腫れ」「口臭」などの言葉が並んでいる。

 いかにも歯周病に効果があるように思えるが、本当なのか?

「パッケージに『歯周病予防』と明記している洗口液の場合、ある程度の期待はできるでしょう。しかし、歯周病を完全に防いだり治したりはできません」

 こう言うのは自由診療歯科医で「八重洲歯科クリニック」(東京・京橋)の木村陽介院長だ。

 歯根面に付着した歯周病菌は、細菌の塊であるバイオフィルムで覆われている。そもそもその上からいくら洗口液を使っても、歯周病が完治するはずがない。

「バイオフィルムは歯の表面や歯周ポケットの内部に形成され、歯周病菌を守るバリアーの働きをしています。このバリアーを取り除くにはまず、機械的にこすり取らなければなりません。洗口液はあくまでも歯肉の上で効果を発揮するもので、歯周病を治すものではないのです」

 しかも、今の洗口液は規制により有効成分の濃度が低く抑えられたり、有効成分そのものが入っていなかったりする。その意味では、今の洗口液は十分な能力を発揮できない部分がある。

 例えば、クロルヘキシジンを主成分とする洗口液は、適正な濃度で用いると歯周病などに有効であるとされている。欧米の歯科医療の現場でも普通に使われている。日本では、複数の医療事故が報告されたこともあり、薬事法で欧米の4分の1程度の低濃度に規制されている。

 また、虫歯の予防効果が高いとされるフッ素入りの洗口液も、昨年9月に「エフコート」(サンスター)が薬剤師の指導の下、販売が許可されるまで、歯科医師から処方される医療用医薬品としてしか認められていなかった。

「理由は病気に対しての考え方が欧米と違うからです。欧米は日本と違って治療費は基本、自費です。そのため歯が悪くならないよう、より効果の高い洗口液やデンタルフロスなどを求める意識があります。そのための研究も盛んです。一方、日本は歯は悪くなったら歯科医師に治してもらう、という発想があるため、歯磨き以外の予防歯科が欧米と比べて遅れている面があります」

 いずれにせよ、今の日本で口腔ケアは歯磨きが基本ということか。