病院は本日も大騒ぎ

手術中の医師は緊張感でいっぱい

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 23歳で看護師になり、現在は関東圏の総合病院に勤務しているヤスヨです。

 最近、医師が麻酔中の患者さんにいたずらをするという行為が相次いで報じられています。米国では麻酔中の患者さんに医師が口ひげを描いたケースがあったそうです。日本でも、術後、麻酔から覚めきらない女性患者さんに、医師が性的ないたずらをして逮捕される事件が世間を騒がせました。

 現場にいる私たち看護師からすれば、“本当にそんなことがあるのだろうか”“何かの間違いではないだろうか”という気持ちでいっぱいです。

 患者さんが手術直前に麻酔をかけられるとき、オペ室(手術室)には、麻酔医のほかに、外科医(執刀医、介助医)、看護師(直接介助、間接介助)など大勢のスタッフが患者さんを囲んでいます。術後、その患者さんがオペ室を出て、病室に戻るまで、少なくとも看護師体制は人員が交代しても変わりません。

 全身麻酔のほか、局所の感覚だけを喪失させる腰椎麻酔などの局所麻酔もありますが、それだって麻酔医、医師、看護師が見守ります。

 体にメスを入れ、血を流すという緊張した手術の後に、患者さんにいたずらをするなど私には考えられないことです。

 陽気というか、性格が明るいベテランの執刀医の中には、オペ中にオペとは無関係の雑談をする人がいます。中には大音量で好きな演歌をかける方もいらっしゃいます。

 それだって、目的は周囲の緊張感をほぐし、手術のリズムを整えるためです。しかも、会話といってもせいぜいが天気の話程度です。

 たとえ手術時間が短くてもミスが許されないだけに、手術後の疲労感は大変なものです。だからこそ医師が、手術後に麻酔で寝ている患者さんに何かをするなんて、私には考えられないのです。

 ガーゼなどに麻酔液を垂らし、最初からいたずら目的で口封じをしたとしても、出入りの多い病室では周囲の目を逃れることはできません。

 通常の大きな病院では、あり得ないと思うのですが……。