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ミシガン州立大が本気 ジェットコースターで腎臓結石治療

 腎臓結石をジェットコースターに乗って排出する。

 こんな冗談のようで本気の実験がミシガン州立大学のチームによって行われ、「米オステオパシー協会ジャーナル」に掲載されました。

 これまでも「バンジージャンプをしたら結石が出た」「トランポリンやジェットコースターで出た」、さらには「大きなくしゃみで出た」という報告はあったものの、そのメカニズムは研究されていませんでした。

 そこでミシガン州立大学のチームは、これまで患者の何人かが「乗ったら出た」というディズニー・ワールドのビッグサンダー・マウンテン・レイルロードで実験を行いました。

 3Dプリンターで作ったシリコーンの腎臓モデルを尿で満たし、やはり3Dプリンター製の3個の結石をそれぞれ別の部位に入れてディズニー・ワールドに出発。バックパックに詰めた腎臓をちょうどお腹の位置に抱えてコースターに乗り込みました。

 その後、コースターの最前列、最後部など場所を変えながら繰り返し乗ること60回。歯も骨もガクガクになりながら集めたデータによれば、最前部に乗った場合、結石が排出された確率は17%、最後部は64%と最後部の方が高く、また最後部では腎臓の上部にあった結石は100%出たこともわかりました。

 研究グループは、「一人一人の結石は大きさも状態も違うため、全員にお勧めはできない」と断りつつも、この話題が「結石予防」への警鐘になって欲しいと願っています。

 というのも、大きくなってしまった結石は手術で取り出すしかなく、激痛を伴います。しかし、小さいうちなら自然に出すことができる。このことを知って欲しいと研究グループはコメントしています。

 今後は、ほかのコースターでも実験を繰り返し、実際の治療に役立つデータを集めるそうです。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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