スマホが医療を変える

IT産業の巨人たちの挑戦 グーグルとマイクロソフトの対決

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 マイクロソフトから1年遅れて、ITのもう一方の巨人、グーグルがPHRに参入してきました(Google Health:GH)。GHもMHVとほぼ同じ機能を持っていました。2大巨頭が出揃ったことで、「いよいよPHRが本格化する」と医療関係者や投資家の期待を集めたのですが、2012年1月に、グーグルが撤退を表明し、1年後には完全に撤退してしまったのです。先行のMHVはいまでも生き残っていますが、成功とは言いがたい低空飛行が続いています。

 MHVやGHは「ユーザーが知りたいことに答えていない」のが失敗の原因といわれています。ユーザーが求めているのは病気のことではなく、「自分はどのくらい健康か」「より健康になるために何をやればいいか」ということです。そのためには、いまの身体状態をリアルタイムで計測できなければいけませんし、そのデータをリアルタイムで解析し、本人にフィードバックしなければなりません。残念ながら初期のMHVとGHには、肝心の「リアルタイム性」が欠けていたのです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。