医師語る 「こんな病気で死にたい」

亡くなる時期がある程度予想できる「がん」で餓死が理想

石川隆俊さんは東京大学名誉教授(提供写真)
石川隆俊さん(東京大学名誉教授・元東京大学医学部長)

「苦しまずに死にたい」というのなら、突然死につながる心臓や脳の病気がいいかもしれません。血管が詰まったり、破裂して、急に血流が途絶えて意識を失い、亡くなります。

 しかし、私は死ぬ前に妻や家族、ごく親しい友人に別れを告げたいと思っています。とくに一緒に子孫を残した妻には、「ありがとう」と言い残したいのです。その意味で、亡くなる時期がある程度予測できる「がん」は、私の理想かもしれません。

「がんは痛くて苦しい」と言う人がいます。しかし、長年、がんの研究に携わってきた私の考えはちょっと違います。

 大抵のがんは、長い時間をかけてゆっくり大きくなります。当初は痛みなど感じません。

 末期でも、一部を除いては一昔前のようにベッドで苦しみ、のたうち回るがん患者さんの姿を見ることはありません。自宅でも使用が許される貼り薬など、がんの痛みを抑える薬が開発されたからです。

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