医師語る 「こんな病気で死にたい」

亡くなる時期がある程度予想できる「がん」で餓死が理想

常陸宮殿下の共同研究者としても有名(提供写真)
■自宅でぬくもりを感じて逝きたい

  ネズミは寿命の3年くらいでがんの発生率が急激に高くなります。一方で、ゾウのように人間の100倍近く細胞数が多いにもかかわらず、がんを抑制する遺伝子の数が多いせいなのか、ほとんどがんにならない動物もいます。

 乱暴な言い方をすれば、がんは病気というより、「死に向かって老化を進めるための自爆装置なのではないか」と考えています。その意味で、がんになるということは神様がその人や動物に与えた命を全うしたということであり、細胞がダメになるまで生き抜いた証拠だと思うのです。

 生き物である以上、死ぬのは避けられません。そのふちに立たされるとさまざまな不安、恐怖、未練が襲ってくるでしょう。それを断ち切り、死を受け入れるためには準備が必要です。私は「自分史」を書きました。子供たちや孫たちに自分の生い立ちや考えを知ってもらうことが生への未練を捨て死を受け入れる一助となると考えたからです。

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