もうひとつ別の例を見てみましょう。同じ50歳でがん検診を受けて早期発見し、早期治療で治癒したにもかかわらず、60歳の時に心筋梗塞で死んでしまったという患者さんです。
この患者さんのがんも同様に10年では症状を出すこともなく、進行するまでに30年かかるとしましょう。そうだとすると、この人はがん検診を受けなければ50歳から60歳まではがんの再発におびえることもなく、より幸せな10年間を送ることができたのではないでしょうか。
こうしたがん検診での発見例を「過剰診断」と呼びます。この過剰診断の問題は、いくら診断が正しく、それ以降の治療が有効でも避けることはできないのです。
数字が語る医療の真実