病院は本日も大騒ぎ

ある男児の死亡原因 麻酔の過剰投与ではなかったのか?

 現在、関東圏の大学付属病院に勤務しているマサエです。先日、麻酔の話が出ましたが、私もひとつお話ししましょう。

 麻酔専門医は麻酔を打つだけで仕事が終わりではありません。手術中の患者さんの呼吸や血圧、心電図など全身の管理も麻酔医の重要な職務になっています。

 麻酔医として最も神経を使うのは、麻酔薬の量をどのくらいにするかです。麻酔薬の量が少なくて、手術途中で患者さんが目覚めてしまえば手術ができません。ですから麻酔薬を打つ前に、担当医師などから患者さんに関するあらゆる情報を集め、それを基にして麻酔薬の適正量を決めます。

 もっとも、麻酔薬の量が多く眠りが深すぎると、事故になります。20年前ぐらいでしょうか、こんなことがありました。私が通学していた看護学部の後輩と食事をしていたときの話です。

 関西圏にある医療関係の会社に勤務していた人の息子さん、まだ小学生だったそうですが、学校で虫垂炎になったそうです。緊急入院となり、手術することになりました。

 ところが手術を終えて出てきた時は、この小学生はもう亡くなっていたそうです。

 病院側が保護者に、死亡原因をどのように説明をしたのかは分かりません。後輩の看護師の話では、死亡原因は麻酔薬の過剰投与ではなかったかと言っていました。

 この話には後日談があります。息子さんを亡くした母親は、喪失感から某宗教団体に入ってしまったそうです……。

 麻酔医は外科医や内科医とは違い、患者さんを長い間診るわけではありません。手術など必要なときに接するだけなので、病院の拘束時間も比較的少ないのが特徴です。そのため、麻酔医はフリーの医師や女性の医師が多いそうです。

 そういえば、同僚の看護師の娘さんが医学部に進みましたが、麻酔医を選択したそうです。女性の医師は男性に比べて結婚、出産、子育てがあり、医師としてのキャリアを積みにくいといわれています。そのせいか、現在は麻酔専門医を務める女医が多いように感じます。