年を取ったらクスリを見直せ

加齢とともにリスク上がる心房細動治療薬との付き合い方

 以前からずっと服用していたとしても、高齢になるにつれて体内の水分や脂肪の量が変わるため、副作用のリスクは上昇します。副作用を防ぐためには、消化器・神経系の自覚症状の観察、心電図、体内の薬の濃度(血中濃度)の測定などを、定期的に行う必要があるのです。

 高齢者薬物療法のガイドラインでは、ジゴキシンは「1日0.125ミリグラムを超える使用は控えること」が重要とされています。年齢や状態によって、注意すべき点が多いといえるでしょう。

 しかし、だからといって急に薬をやめてしまうとさらに危険です。服薬を急に中断すると、心臓の動きが弱くなり、心不全の状態になる可能性があります。

 薬は安易に中止せず、医師や薬剤師の指示の下で適切に使用することが大切なのです。

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中尾隆明

中尾隆明

1985年、愛媛県生まれ。愛媛県立南宇和高等学校を経て岡山大学薬学部を卒業。2008年からこやま薬局(岡山県)で管理薬剤師を務め、現在は企画運営部主任として各店舗のマネジメントを行っている。8月に著書「看護の現場ですぐに役立つ くすりの基本」(秀和システム)を発売。