女性は死亡率1位 大腸がんで死なない「5つのポイント」

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 男性がかかるがんのトップが大腸がんだ。「新宿内視鏡クリニック」の谷口将太郎院長に大腸がんで命を落とさないためのポイントを聞いた。

 大腸がんは早期発見できれば80%以上の高い確率で治るといわれている。しかし、死亡率を見ると全がんの2位。男性では3位、女性では1位だ。

 では、「治る」グループに入るには、何に注意すればいいのか?

 まず気になるのは自覚症状だ。

「残念ながら、大腸がんは早期では自覚症状に乏しい。なんらかの症状が出てきた時には、ステージ4まで進行していたり、遠隔転移があったりする場合が多いのです」

 それでも自覚症状を参考にするなら、「いつもと違う」に敏感になること。

 いつもと違ってお腹が張る。いつもと違って便が細い。いつもと違って便が残った感じがして何度もトイレに行きたくなる……。

 こうした段階で検査を受けたら、早期発見につながるかもしれない。

 谷口院長によれば、大腸がんの早期発見を本気で望むなら、検診以外にないという。ベストは大腸内視鏡検査で、40歳以上ならすべての人が受けるべきだ。谷口院長自身も、31歳の時から1~3年に1回は受けているという。

「痛いイメージが強いでしょうが、無痛の検査法もあります。大腸内視鏡は1回受ければ終わりではなく、数年ごとに受けたほうがいい。恐怖心から遠ざけようと思わないように、無痛の検査をしてくれる医療機関を探すことを勧めます」

 便潜血反応や、自費診療になるが検査の苦痛が少ないカプセル内視鏡、または大腸を調べるCTを利用するのも手だ。

■見つからなくても検診スパンには例外が

 検診で大腸がんが見つからなかった場合、その後の検査のスパンはどうすればいいか?

「ポリープが一つも見つからなければ、3年に1回でいいでしょう。ただし、例外があります」

 大腸が屈曲していたり、便が大腸内に少量でも残っていると、大腸内視鏡でくまなく調べられず、見逃しの確率が高まる。2年くらいで大腸内視鏡を再度受けたほうがいい。

 また、「大腸がんがなかった」という結果でも、「ポリープがいくつもある」「“顔つき”の悪いポリープがある」「ポリープができやすい因子を持っている」など、患者の状態に応じてスパンは「半年に1回」や「1年に1回」などに変わってくる。

「一番最初の大腸内視鏡の結果は非常に重要。その後の検査のスパンをはじめ、大腸がんのリスクが高いか低いかが分かります」

 だから、大腸内視鏡の結果を大いに生かし、的確な指導をしてくれる医師のもとで受けることが大切になる。判断材料になるのが、「腺腫発見率(ADR)」だ。

 腺腫は、良性だが将来的に大腸がんになる可能性が高いポリープのこと。

 腺腫発見率が高い大腸内視鏡医の方が、そうでない医師より大腸内視鏡の検査技術も高く、その後の指導もしっかりしていると考えられる。

 ADRの公表は義務ではないが、ホームページで紹介している医療機関もあるので受診前にチェックを。

 ポリープが見つかった後の対応も、医師によって違いがある。

「ガイドラインでは5ミリ以上が切除となっていますが、その根拠はありませんでした。米国では5ミリ未満でも腺腫であればすべて切除としており、日本でも追随する医師が出てきています」

 谷口院長も、腺腫なら5ミリ未満でも切除するべき、との考えだ。

 予後がいいがんだからこそ、助かるチャンスをみすみす逃さないようにしたい。

関連記事