スマホが医療を変える

「チャットボット」が健康産業を支配する?

チャットボットはあらゆる産業で注目を集めている(C)日刊ゲンダイ

 チャットボットはセールスの新しい武器として、あらゆる産業で注目を集めています。ユーザーとの会話を通じて、タイミングを計りながら「こんなものはいかがですか」と、さりげなく商品を紹介することができるからです。もちろん、ユーザーが商品名をタップすると、すぐにそのサイトに移動できる仕掛けです。自然な会話を経て、契約や購買に誘導しようという戦略です。

 健康や医療の世界では、フィットネスクラブや健康食品が最初のターゲットになるはずです。スマホで健康管理をしている人の多くは、そちらの分野に明らかに強い興味を持っています。しかも、自分の健康データに基づいて勧められたサービスや商品なら信用できそうです。人気のあるチャットボットの推奨となれば、なおさらでしょう。

 チャットボットを通じてIT企業が健康産業を支配する日も、そう遠くなさそうです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。