スマホが医療を変える

ちっとも便利にならない「処方箋の電子化」の問題

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 調剤薬局側でも、電子処方箋には乗り気でありません。実は薬局と病院のあいだには、クスリの処方を巡って「疑義照会」といわれる問い合わせが頻繁に行われているのです。また疑義照会の結果、処方内容を変更するといったこともさほど珍しくありません。厚労省が打ち出した電子処方箋では、そうした対応が難しいのです。

 医者にも患者にも薬局にも使い勝手がいいシステムとなると、厚労省や地方医師会の手に余ります。そうこうしている間に、海外の巨大IT企業が乗り出してくるかもしれません。

 調剤薬局絡みの総医療費は7.2兆円(2014年)にも達しています。ビジネスの余地はいくらでもありそうです。さすがに日本政府も、すぐに海外企業に門戸を開くようなことはないでしょう。しかし、いつ外圧に屈してしまうかもしれません。

 電子処方箋は技術的というよりも、実は政治経済の問題なのです。

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永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。