当事者たちが明かす「医療のウラ側」

大学間連携は患者の経済的な負担を増すことになるか?

都内の40代開業医

 最近、かけ離れた存在だと思われてきた分野と医療との意外な取り組みが相次いでいます。先週は、東京医科大学と女子栄養大学との包括提携の発表がありました。これまでも、栄養士になるための研修場の提供や栄養指導等での共同研究を進めてきた両校が、さらに提携関係を深めようというわけです。3月には、順天堂大学と東京芸術大学との包括提携が発表されています。こちらは音楽セラピーや病理・解剖学と美術解剖学、順天堂医院におけるヒーリングなどの共同研究が狙いです。

 なぜ、こんなことが起きているのでしょうか? 少子化による受験者数の減少対策として、より社会に役立つ学校ブランドをつくりたい、という気持ちもあるでしょう。しかし、それ以上に社会の医療への期待が「治療」から「病気にならないための予防」に重点が移っているからでしょう。

 女子栄養大学は日本を代表する栄養学の中核大学です。管理栄養士の合格者数はトップで、さまざまな企業や地方自治体と提携して、栄養学に基づいた料理の研究や商品化を担ってきました。箱根大学駅伝の常連校である東洋大学陸上部の食事指導でも有名です。

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