以前この連載で、「心筋梗塞と怒り」の関連について検討された論文を紹介したことがあります。強い怒りの感情を持つと、心筋梗塞発症リスクを増加させるという結果でした。一方、弱い怒りの感情ではリスクの増加は示されなかったことから、「心筋梗塞予防には感情のコントロールが大切かもしれない」とその時は結論しました。
この論文で検討されていた被験者は300人程度とかなり小規模でしたが、米国心臓病学会誌電子版(2016年10月10日付)では、怒りの感情と心筋梗塞に関する大規模観察研究の論文が掲載されました。
この論文報告は、52カ国における1万2461人の心筋梗塞発症者(平均58.1歳)を対象に解析したかなり規模の大きい研究です。アンケート調査により、心筋梗塞発症の1時間前における身体活動の状態や、怒りの感情について情報を収集しました。なお、結果に影響を与え得る、年齢や性別、喫煙状況、糖尿病や高血圧などの危険因子について、統計的に補正して解析しています。
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