メイ英首相は56歳で発症 1型糖尿病は“大人の病気”だった

■1型と2型で異なる治療方法

 ある40代の女性は10年前に2型糖尿病と診断された。この時点の食後血糖値は377mg/dl、HbA1cは9.8%。飲み薬では血糖値が下がらず、すぐに1日2回のインスリン注射療法に切り替えた。今年9月に体から分泌されるインスリンがゼロになり、改めて緩徐進行1型糖尿病と診断された。

「この患者さんは最初、自宅近くの一般内科のクリニックにかかっていました。残念ながら一般内科の先生の多くは、緩徐進行1型糖尿病の存在を知りません。そのため、2型糖尿病と同じように飲み薬による治療や食事制限、運動療法などを勧めますが、もちろん効果はありません。正しくはすぐにインスリン注射を打たなければなりません。1型と2型では同じ糖尿病でも治療の仕方が違うのです」

 今年7月に英国史上2人目の女性首相に就任したテリーザ・メイ女史は、56歳となった2012年11月に重い風邪をキッカケに1型糖尿病を発症した。当時、内務大臣を務めていたメイ首相は、ロンドン五輪の仕事に追いまくられていた。すでに体重減少といった糖尿病特有の症状は表れており、医師から「2型糖尿病」と告げられた。

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