医師語る 「こんな病気で死にたい」

専門である肝臓がんなら受け入れられるかもしれない

同業の妻には「告知しないで」と話している(C)日刊ゲンダイ

■同業者の妻に「病名は告知しないで」

 自分で言うのもなんですが、実は病名の告知も受けたくありません。同業者である妻には「告知はしないでほしい」と話しています。下手なウソに乗りたい。そして、つらくないように、うまく逝かせてくれればいいと思っています。ぜいたくを言わせていただければ、ほどよい年齢で、家族にみとられながら死ぬのが理想的ですね。妻に先立たれ、一人残されるのは、やはりつらい。

 がんには、さまざまな「苦痛」があります。肉体的苦痛、精神的苦痛、社会活動に参加できない苦痛、スピリチュアルペインなどです。緩和ケアというと「末期から」との認識が強いですが、本来はがんと告知された瞬間からのもの。早い段階では精神的なサポート、それが徐々に肉体的なサポートへと重点が移行していくものなのです。

 痛みや苦しみがなく、そして周囲に支えられながら人生を全うする。私自身そうありたいですし、患者さんにもそういった医療を心掛けていきたいと思っています。

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