病院は本日も大騒ぎ

優秀な担当看護師が去った大部屋の入院患者は全員死亡

 関東圏の総合病院に勤務して20年になる看護師のヨシエです。

 最近、一般週刊誌で「病院選び」の記事が盛んです。基準となるのは、どれだけ有名なお医者さんがいるか、のようです。

 しかし、看護師の立場から言うと、名医を必要としている患者さんは実はそれほど多くありません。以前と比べて、さまざまな医学会が診断・治療のためのガイドラインを出していて、専門外の医者でもキチンとした治療ができるようになっているからです。

 医師も正直、何の病気かよくわからないときは、専門医が監修した診療と診断のためのガイドラインで勉強したり、応急処置をしたうえで、専門の先生に紹介するようにしています。つまり、どの病院に行こうが、大きな差はないのです。

 もちろん、なかには勉強不足なくせに頑固な医師がいて、「オレにわからないことはないんだ」「若いころ、こう習ったんだ」なんて言うヤブ医者もいます。しかし、いまはそれほどひどい医者は少なくなりました。

■「この病院にいたら、死ぬか寝たきり」

 では、何を基準に病院を選んだらいいのでしょうか? 私は看護師さんの質を見ることが大切だと思います。

 先日、あるテレビ番組で看護師にまつわるエピソードが紹介されていました。ある優秀な看護師さんが病院を移ることになった際、担当していた大部屋の患者さんのひとりが「この看護師さんに面倒を見てもらいたいので、ついていく」と言い、転院されたそうです。

 その後間もなくして、残された大部屋の患者さんは全員亡くなり、看護師さんと一緒に転院された患者さんだけが生き延びたそうです。

 テレビ番組の出演者全員が「うそ~」と驚いていましたが、私は納得でした。それくらい、担当する看護師の良しあしで患者さんの命は左右される、のです。

 以前、ある地方病院に60代の患者さんが交通事故で運ばれてきました。その病院は老人病院でまともな治療などしません。夜中にある看護師が病室に忍んできて、“この病院に居続けたら、あなたは死んでしまうか、寝たきりになる。すぐ転院しなさい”と教えてくれたそうです。驚いた患者さんは、家族と相談してすぐに転院、いまは元気にされています。これはその家族の方から私が直接聞いた話ですから間違いありません。

 病院選び、とくに入院が伴うときは看護師から話を聞くことが大切です。