最旬「健康ニュース」

腎臓<2>気がついた時には人工透析が必要に

 腎臓は腰の少し上の背中側に背骨をはさんで左右に1つずつあります。握りこぶしくらいの大きさで、重さは1つ120グラムほど。糸球体と尿細管からなるネフロンをひとつの単位として100万個のネフロンを持っています。

 ここに1分間に約1リットルの血液が流れ込みます。人間の体のなかで血液量が最も多い臓器です。その役割は血液中の老廃物を捨て、キレイになった血液を心臓に戻すというものです。

 むろん、体にとって必要なものまでろ過され、尿として排泄されないように、必要に応じて再吸収します。約99%が再吸収され、残り1%が尿となるのです。この腎臓が何らかの原因で障害を受け、腎臓の働きが正常の半分以下になると「腎不全」という状態になります。

 こうなると、むくみや高血圧、心不全の症状が表れます。食欲不振や貧血、吐き気、頭痛、不眠、だるさなどの自覚症状も出てきます。最後は尿毒症といって、血液中に老廃物(毒素)がたまり、意識障害から昏睡状態に陥り、亡くなってしまうのです。それを避けるために週3回の人工透析や腎臓移植が必要となります。

 腎臓はこれほど重要な役割を担っているのですが、腎機能が低下していることに気づかずにいる人がほとんどです。それは肝臓などと共に沈黙の臓器と呼ばれるほど、自覚症状が少ないからです。気がついた時には透析を始めなくてはならなくなっているケースもあります。では、そうならないためにはどうしたらよいのでしょうか?

(松尾内科クリニック・松尾孝俊院長)