「粗食がいい」は誤解 がんは賢く食べて抑える時代へ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 日本では明治時代からその存在が知られていたが、その仕組みの解明が進んだのはここ10年ほど。

「がんになると、がんやがんに影響を受けた免疫細胞などから、さまざまな炎症性サイトカインが嵐(ストーム)のように分泌され、代謝異常が起こることが分かってきました。これが悪液質の引き金です」

 サイトカインとは、さまざまな細胞に働きかけてその働きを変えるホルモンに似た物質を言う。例えば、「インターロイキン6」は体内のタンパク質をアミノ酸などに分解する酵素のスイッチをオンにすることで、筋肉が急速に萎縮していく。

「ほかにも、副甲状腺ホルモンやLIFと呼ばれる炎症性サイトカインが悪液質の原因となることもあります。最近はサイトカインシグナルが脳に伝わることで脳が体に指令を行う、つまり、がん悪液質は脳の関与が濃厚といわれています」

3 / 4 ページ

関連記事