治療の難題をクリア 「進行パーキンソン病」新薬の実力

働き盛りでの発症も多い(写真はイメージ)(C)日刊ゲンダイ

 なぜ、パーキンソン病は進行すると薬物治療で症状をコントロールすることが困難になるのか? 服部教授は次の2点を挙げる。

 まず、「有効治療域の狭小化」だ。

「パーキンソン病が進行すると患者さんが動きやすいと感じる薬物の血中濃度の幅(有効治療域)が狭くなります。これに対して、断続的な経口薬では対処ができない」

 次に、「胃内容物排出遅延」がある。

「パーキンソン病では胃など消化管の働きが悪くなり、胃内容物の排出に遅れが生じます。すると、薬剤が小腸で吸収されるタイミングにばらつきが生じ、薬物血中濃度を安定して維持するのが難しくなるのです」

 空腸へ直接、16時間持続して投与する新治療薬なら、この2点の問題がクリアできる。

 臨床試験では、重度の運動症状が見られる進行期パーキンソン病患者が、新治療薬に切り替えた。すると、投与12週間後には、1日当たりの平均オフ時間(薬の効果が切れて動けなくなる時間)が、既存薬より大幅に減少した。その後、52週以降の評価でも、明らかな差ができた。

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