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【予約診察室】順天堂大学医学部付属順天堂医院・健康スポーツ室

順天堂大学医学部付属順天堂病院の久岡英彦教授と待合室
順天堂大学医学部付属順天堂病院の久岡英彦教授と待合室(C)日刊ゲンダイ
待ち時間ゼロ 所信40分、再診20分

 大学病院などでは「予約診察室」や「特別診察室」といった、一般外来とは別に診察室を設けている施設があることをご存じだろうか。これは厚労大臣が定める特定療養費に係る「予約に基づく診療に関する基準(以下、基準)」により、自治体から許可を得て行っている診療体制。簡単にいうと、患者は保険診療の医療費とは別に「予約料」を支払い、希望する特定医師による診療を事前に予約することができる。

 同院の場合、健康スポーツ室(4部門)の1部門として「予約診察室」が置かれている。健康スポーツ室副室長で総合診療科の久岡英彦教授(顔写真)が言う。

「予約診察室は1968年に開設され、もともとは退職された名誉教授が診察する『特別外来』が出発点でした。その後は、患者さんの要望に合わせて全診療科から特定の医師を予約できるようになっています。ですから、最先端の医療を行っている専門医の診療を受けることができるのです」

 一般外来でも予約制(無料)の外来もあるが、混んでいれば30分、1時間、待つことは多い。しかし、同診察室は、初診は40分、再診は20分と十分な診療時間の枠を設けて、患者と医師の都合のいい日時をマッチングするので待ち時間はほとんどない(「基準」でも、患者を30分以上待たせたら予約料が取れないことになっている)。

 加えて、プライバシーを守ることに細心の注意を払っていることも特徴。同院の場合、主な一般外来が集中する1号館と道路を隔てて隣接する新たに完成したB棟の3階に同診察室があるので、どの診療科医師の治療を受けているかを他人に知られることはまずない。

 待合室スペース(60席)も、他の患者と目線が極力合わないようにパーテーションなどを使い配慮されている。診療のときは、受付担当者が患者のそばに来て名前や番号で伝えてくれるという。

「診察室は、眼科、耳鼻咽喉科、婦人科・泌尿器科の各専用診察室を合わせて全10室あります。採血や心電図、エコー、レントゲンなどの検査、注射などの処置も、すべての診療科の診察はほとんどこの場所で行うことができます(CTやMRIは2階)。薬の受け渡しや会計もここで済ませることができます」

 診察室のうち1室はVIP室がある。内観は普通の診察室と同じだが、違うのは地下駐車場からエレベーターで3階へ昇り、受付や待合スペースを通らずに裏口から直接、診察室へ入れることだ。

「待ち時間なし」「プライバシーの配慮」から、受診者は、国会議員、企業管理職、芸能人、スポーツ選手などの著名人が多いが、一般人も少なくないという。

 同院のブランド力は強く、多少費用がかかっても「この先生に診てもらいたい」という患者が全国から訪れる。特に週の前半は予約が集中するという。

「忙しくて、なかなか病院を受診できない人も多いと思います。そのような方でも予約診察室であれば、安心して質の高い医療を受けていただくことができます」

■データ
日本で最も古い西洋医学の医療機関(創立178年)
◆スタッフ=全診療科の医師
◆年間患者数(2015年度)=初診407人、再診7254人
◆予約料(税込み)=初診1万4040円、再診1万800円