最旬「健康ニュース」

腎臓<5>慢性腎臓病を早期発見するために

 腎臓病は自覚症状が少ないため、健康診断などでタンパク尿や血尿などの「尿の異常」を指摘された時には、必ず再検査を受けることが大切です。その際には、必ず健康診断の結果やお薬手帳などを持参することが、正確な診断に結びつきます。

 ほとんどの腎臓病で何らかの異常が表れる尿検査は、もっとも基本的な検査です。一般的な尿検査でタンパク尿が陽性な方は、健診受診者の中でわずか0・5%。ところが、その方が透析へ移行する可能性は5~10%前後と高いのです。タンパク尿、血尿ともに陽性だと10年間で約3%が透析になっています。「タンパク尿が多いほど末期腎不全になりやすく、心臓病の発症や死亡リスクを高める」という報告が数多くなされています。

 腎臓の機能を大まかに判定するための検査として、「血清クレアチニン(Cr)値」がよく用いられます。上昇すると腎機能が低下したことになります。しかし、腎機能の低下が軽度なうちは異常を示さないことが多いという特徴があります。そこで、最近は「推算GFR(eGFR)」が腎機能を評価する簡便かつ正確な方法として推奨されています。その正確度は約75%です。

 腎機能が低下してくると、腎臓が萎縮し、辺縁の凹凸が目立つようになってきます。その変化は超音波検査やCTでわかります。MRIはCTよりも正確に腎臓内の変化をとらえることができ、血管の状態を立体的にとらえることも可能です。また、アイソトープを用いた核医学検査では、左右の腎臓の機能を別々に測定することができます。

 これらの検査は腎性高血圧症、腎腫瘍、腎奇形などの診断にも役立ちます。

(松尾内科クリニック・松尾孝俊院長)