愉快な“病人”たち

歌えなくなったら…木山裕策さんの運命変えた後悔と挑戦

現役サラリーマン歌手の木山裕策さん(C)日刊ゲンダイ

 仕事もあるし、それなりに悪くない人生ではあるけれど、もしこの先、また病気になって本当に声をなくしたら? 命に関わる病気になったら? と考えたとき、子供たちに何も残らないなと思ったんです。“もし声が出たら何かチャレンジしたい!”そう思いました。

 でも、会社に復帰すると仕事に追われ、結局、何もしないまま半年がたっていました。しゃべるのも痛いし、唾をのんでもツレる喉で歌うのが怖くなっていたんです。術後初のカラオケはひどいものでした。

 そこから部屋にこもって歌う自主練を再開して、だんだん前の感覚が戻ってきたのが手術から1年後。人前で歌うことに挑戦し始めたのはその頃です。子供のピアノの発表会でお願いして歌わせてもらったり、夏祭りののど自慢に出たり、カラオケ店で自分の歌のCDを作ったりもしました。

 運命を変えたのは、そのカラオケの端末で「歌スタ!!」(日本テレビ系)というテレビのオーディション番組にエントリーできるのを目にしたことです。“最終ボタン”がなかなか押せずに何回も通いましたが、病気があって、手術があって、歌への思いや子供たちへの思いがあふれていたんですよね。最後に4人目の子供が生まれて、背中を押してくれました。実に勝手な解釈ですけど……(笑い)。

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