受診までの「応急処置」

【口内炎】2週間は様子見 それ以上続いたら病院へ

うがいは「水」か「お湯」
うがいは「水」か「お湯」(C)日刊ゲンダイ

 口の中や舌の粘膜にできもの(炎症)ができて痛い「口内炎」。原因によって、いくつか種類がある。東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニックの新谷悟院長が言う。

「最も多く見られるタイプは『アフタ性口内炎』です。原因はよく分かっていませんが、ストレスや疲労による免疫力の低下、睡眠不足、ビタミンBの欠乏などが考えられています。赤く縁どられた1センチ未満の丸くて白い潰瘍ができ、複数発生することもあります」

 入れ歯が接触したり、頬を噛んだり、熱湯や薬品などの刺激で傷ができて起こるのが「カタル性口内炎」。アフタ性と違って、はっきりした境界線がなく、赤くただれたようになる。

 ウイルス感染で起こる「ウイルス性口内炎」は、単純ヘルペス(口唇ヘルペス)や、梅毒、淋病、クラミジアなどの性感染症が原因になる。多くは粘膜にいくつも水疱(すいほう)ができ、それが破れてびらんができる。

 その他にも、たばこの吸い過ぎで起こる「ニコチン性口内炎」や、口の中に常在するカンジダ菌(カビの一種)が原因になる「カンジダ性口内炎」の場合は、口の中に白いコケ状の斑点ができるという。

「いずれにしても一般の人には見分けがつきません。場合によっては『口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)』という前がん病変の恐れもあります。通常、心配のない口内炎は2週間以内には自然と治ります。受診の目安は『2週間以上、治らない口内炎』です」

 その間の応急処置は、次のようなことをしてみるといいという。

 ①ビタミンB製剤②水やお湯でのうがい③市販の口内炎薬(軟膏、内服、スプレーなど)。

「うがいは、うがい薬を使うと殺菌・消毒はできても粘膜の細胞の修復を遅らせてしまいます。唾液に抗菌作用があるので、水やお湯で十分です。また、市販の口内炎薬はウイルス性の場合、逆効果になることがあります」

 口の中に痛みが出る病気の中には、病変ができないものもある。舌がビリビリ痛い「舌痛症」や、口の中が焼けるように痛い「口腔灼熱症候群」は、その代表格だ。原因は、ストレス(口腔心身症)、入れ歯やかぶせ物の不具合、歯科治療の材料による金属アレルギーなど、多因子が複雑にからんでいるケースが多いという。

 治療は、口腔内の金属を取り除いたり、漢方薬を使ったりする。長く続くようなら、早めに受診しよう。