当事者たちが明かす「医療のウラ側」

命に直結するミスも…薬局でダブルチェックが機能しない

都内の40代薬剤師

 どのような職場もコミュニケーションや人間関係が大切です。ダブルチェック、トリプルチェックをするうえで必要だからです。それが仕事の精度を高め、ブランド力をアップさせます。

 私たち薬剤師は患者さんの命にかかわる薬を調剤してお渡しするのですから、とくにコミュニケーションが大切です。

 そうでないと、患者さんに渡す薬を間違えた、併用禁忌の薬を見逃してしまった、というあってはならないミスが起こりかねないのです。

 調剤業務は、処方箋のチェック→処方内容の入力→調剤→監査→服薬指導→薬歴を書くという流れで行います。とくに「監査」は別の薬剤師がチェックすることでミスをしないよう気を配っています。

 ところが先日、私が勤務している薬局で、パートの薬剤師さんが患者さんに渡す薬剤を間違えそうになりました。

 その薬剤師さんは処方箋のチェックの段階で、よく似た別の薬と間違えて調剤してしまったのです。

 たまたま、患者さんがその場で「いつもの薬と違うようだ」と気がついたため、大事には至りませんでした。

 しかし、薬局としては大変なミスです。当然、皆で「なぜ、ミスが起きたか」を話し合いました。

 驚いたのは、監査した人がいたにもかかわらずそれに気がつかなかったばかりか、ミスが発覚した後も知らん顔していたということです。

 せっかくダブルチェックの体制が整っていても、責任感がない人が加わっていれば、そのシステム自体が何の役にも立ちません。

「処方箋を毎日何千枚もこなしていく以上、他人の仕事のチェックまではやれない」「一人薬局だったらどうなのか」という思いがあるのもわからなくはありません。しかし、私たちの仕事は患者さんの命に直結するのですから、そこは改めるべきでしょう。