夢の抗がん剤「オプジーボ」はどこまで値下がりするのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「50%値下げしてもまだ米英より高いのですから政府内からの批判も当然です。しかし、本来なら怒るべき国民は声を上げない。オプジーボがいくらになろうが、医療費の月額上限を定めた高額療養費制度により、患者の負担は変わらないからです。それはとても危険なことです」(村吉氏)

 実は、オプジーボの価格は今後のがん治療の主力となる新型がん治療薬の価格の基準になる。少々の値下げで満足していたら将来に禍根を残す。

 例えば、9月に製造販売が承認されたキイトルーダ。オプジーボと同じ作用機序の新型がん治療薬で、対象となるがんも重なる。この薬は先の欧州腫瘍学会でオプジーボが結果を出せなかった初期の肺がんにも効果があると発表された。

「現行通りのルールなら、その価格は同じ作用機序のオプジーボの価格が基準となり、オプジーボより優れている点があれば加算し、さらに英米独仏の平均薬価を参考にして決められます。仮にオプジーボが50%引き下げられたとしても米国で1人年間約1500万円ともいわれるキイトルーダの薬価は日本でそれ以上に跳ね上がる可能性は十分あります」(村吉氏)

 新型がん治療薬はほかにも続々と申請されている。値下げしても安いとはいえないオプジーボを基準に承認され続ければ、日本のがん治療は世界一高価なものになりかねない。厚労省はここにきて年度内にも50%値下げで最終調整に入ったというが、果たしてそれで十分なのか。

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